gelgeldeepは夏に踊り、秋には水面を漂い、冬には天を駆けて春に腐りける


かつて
そこには何億の騎士が泳ぎ、先駆けて天を照らす王あり、

僕は知っていた。

いずれ、審判の日がくる。その日が来さえすれば、全ての亡者は這い出てきて、僕は彼らのもとに
晒され、彼らの手で引き裂かれるだろう。

僕は知っていた。どんなおとぎばなしでさえ、一部を除く人間を畏れさせることはできない。
僕はおとぎばなしを恐れるほど想像力が豊かではない。

世界中の”人々”はほとんどが大人で、しかし大人は、大人以外のもの---例えば子供を尊ぶ。
それは、自分が失ったものを、再びつかのまに思い出すための、写真のようなものに過ぎない。
僕はいずれ、想像力のない大人の手で貶められ、腐っていくだろう。

「何を考えてる」
男の手が僕の首を指でいやらしくなぜた。すぐに、臭い息を吐くごま塩を振ったような顔が耳元へ
近寄ってきて、僕の手にある仕事用端末を覗き込む。口から酒の強い口臭が鼻を叩きつける。

「おめーさんはよ、明日が来るって事をよ、よく知らんよーだな、修二郎よお。おめーが今日しごと
しなくたってよ、明日がきて、おめーは明日の仕事をすんのによお」

僕が振り向くと、彼はするりと向きを変えて部屋から出ていった。
僕は彼に言うべきことがある。
僕は、彼を何も知ってはいない。ましてや、明日がくることも、空にくじらが泳ぐことも、最後の
審判の事も。
僕は、彼に話すべきことがある。





Gelgeldeepは二度と戻らず
現在の管理者の活動はこちら☞TWITTER
2style.net